人気ブログランキング | 話題のタグを見る

落花流水

massno.exblog.jp
ブログトップ

最後の 手紙にならない手紙

ふたりで暮らした部屋から見える公園のブランコに
僕はひとり ぶら下がっている

君と暮らし始めた頃には綺麗に花を咲かせていた桜の木々さえも
君のいなくなった今は葉っぱひとつ残ってないよ


部屋に戻ってももう君はいない
「お帰り」の声は聞こえない
そこに君の笑顔はなくて
ただ思い出だけがこの部屋に散らかってるよ

いつも違うメニューの料理は優しい味がした
白くて美しい大皿に 丁寧に盛り付けられていた
君は毎日麦茶を沸かしていた
ほっとする香りのハーブティーも

プレゼントにもらったエスプレッソメーカー
出会った頃にあげたハートプラント
一緒に選んだ緑色のカーテン
角に足をぶつけてしまう黒いローテーブル
温かい光をこぼすベッドランプ
ふたりで眠りふたりで起きたダブルベッド


君は毎日料理を作って
それを毎日写真に撮っていた
毎日、幸せをかみしめるみたいに

君と色んなところへ出かけた
ニューヨークにもカンボジアにも行った
写真の中で頬を寄せ合うふたりの笑顔はとても幸せそうで
だけど家でふたり過ごす時間こそが何よりも幸せだった


僕が全てをコワシテしまったんだ
君をたくさん傷つけてすまなかった
僕は謝ってばかりだったね

いつしか僕の言葉は君の心に虚ろに響くようになり
花を贈っても君は微笑まなくなった


それでも君は誰よりも深く僕を愛してくれていた


今更何を言っても仕方ないし
言わなくてもいいことを言ってしまうのは僕の悪い癖なんだけれど
僕は君を愛し続けている


君と過ごした2年間
僕は誰よりも幸せだったよ
僕の人生の中で一番幸せな日々だった

ありがとう


もう元に戻ることはない
早く僕もこの部屋を出なくちゃいけない
君と暮らした日々にサヨナラを言わなくちゃいけない

前に進まなくちゃ


分かってはいる、もうあの日には帰れない
だけど、家に帰って部屋に明かりが付いているのをみると
君がいるのかな、そう思って僕は思わず尻尾を振ってしまう
そうして、ただ自分が明かりを消し忘れて家を出ただけだと気付くと
僕はどうしようもなく ひとり 落ち込んでしまうんだ


もうそれじゃいけないんだ
君も前に歩き始めている
僕も前に歩き始めよう


一緒に暮らしていたあの頃
君はいつも自分のことを書いてくれと僕にせがんだね
はじめて君のことを書くのがふたりの最後になるなんて
もっとふたりの幸せを記しておけば良かったよ
今更君と僕のことを書く僕を許してください

愛してる ありがとう 君の未来に幸あれ
僕はもう君の恋人でも何でもないが
君を特別に想うひとりの旧き良き友人として
君の幸せを祈り続けています
君の未来に幸あれ
君がもっといい人と巡り合えますように

そして僕も
僕なりにまたもっと深く誰かを愛せますように


それじゃね
からだを大事にしてね
バイバイ 元気でね
by ke_ya160782 | 2010-01-29 01:15